〜WORLDNAVIコラム〜 ワールドナビ・ネットを開いてから数日後、駐日台北経済文化代表処新聞広報部より、一通のメールが届いた。 メールには担当者の名も添えられて無く、ビジネスマナー上はこれで良いのかなと残念に思ったが、同時にこの事は台湾と中国、そして日本との関係について考えさせられる切っ掛けとなった。 指摘を頂いた括弧付け表記のページは、当方サイトの「国別リンク集」のページである。 1)括弧付けの表記は、日本との正式な国交(又は国家承認)の有無に基づくものとなる様に努めている。 残念ながら上記のメール内容に対しての返答は頂いて無いが、この数日後の7月21日、台湾の陳水扁総統は民主進歩党(民進党)大会で、「中国が台湾の善意に反応しないのなら台湾は自分の道を行く」と発言、8月3日に東京で開催された海外在住の台湾人の集まり、世界台湾同郷会総会にインターネットを通じ参加・演説し、その中で「台湾と中国はそれぞれが一つの国(『一辺一国』)」であるとして、独立の是非を問う住民投票の重要性を強調した。 これらの独立を求める台湾の動きに対して、中国当局は一斉に反発、8月4日の新華社通信は、陳水扁台湾総統の発言に対し、台湾や香港で批判が相次いでいると伝えた。この事は報道を通じて中国政府が陳総統発言に強く反発していることを示したものだ。中国国務省新聞弁公室運営のサイトにもこの陳総統発言を批判する記事が掲載されている。 中国側の批判・反論の要点の一つは、これら台湾独立への動きが陳水扁総統を始めとする一部の独立派の画策で、一般の民意や台湾の人々の願いを反映したものでは無い、としている事である。その後の中国の反発を受けて、台湾当局でも、この事は明確に独立を求めるものでは無い、として火消しに努める発言も見られる。
これらの中国の強力な働きかけにより、台湾(中華民国)は、1971年迄は国連の常任理事国であった台湾は、1972年の日中国交正常化により日本と断交、アメリカも台湾との関係を定めたアメリカ「国内法」である台湾関係法の成立を待ち、1978年にはアメリカとも断交、10年前には韓国とも断交されてしまった。
今年7月にも太平洋に浮かぶ伊豆大島の約1/4の島、ナウルと台湾との断交が話題になった。駐日台北経済文化代表処のサイトには、この断交に関して中国の金銭外交を非難する台湾の外交部長の声明が掲載されている。 これらの記事を見て強く感じるのは、国の外交的な決定の多くは実利優先で、理念よりは実利→国益→国策と建前が形成されてしまうと言う事である。 さて、日本を振り返ってみると、これまでは周辺国に比較して秀でた経済力を背景に、外交を形成する事が出来た。然し、巨額の財政赤字等を原因として、経済力の後ろ盾が無くなってしまった時に実利優先の国際社会でどの様な外交を展開して行く事が出来るのか、今後が気掛かりでもある。
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草場 歩(感想等はこちらへ) 2002.08.21 |
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